25号は、球状船首の船首楼付き一層甲板型横置肋骨構造の鋼製漁船で、船体中央部から船首方四メートルばかりの上甲板左舷寄りに船橋を有し、船橋の右舷側が作業甲板となっている。
長さ(全長) 二九・二二メートル
長さ(登録長) 二三・〇〇メートル
幅(型) 五・九〇メートル
深さ(型) 二・一五メートル
海水満載喫水(平均喫水) 一・八一九メートル

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25号船長および船団長の略歴
船長(昭和十一年生まれ、五級海技士=航海=免状受有)は、昭和三十六年四月五郎竹丸の甲板員として雇い入れられ、同年十月海技免状を取得したものの、引き続き甲板員として乗船した。
同四十七年五郎竹丸船団結成後1号の船長に就任して同船などの船長を務め、平成三年十一月25号の船長となり、以後約三年一カ月にわたって同船に船長として乗船し、まき網漁船の船長としての経験は約二十三年間に及んでいた。
船団長(昭和十七年生まれ、一級小型船舶操縦士免状受有)は、指定海難関係人の実弟で、昭和三十二年五郎竹丸の甲板員として乗じ、同四十六年海技免状を取得して同船の船長に就任し、同四十七年五郎竹丸船団結成後構成船団の乗組員として就業したあと、平成五年九月25号の漁ろう長兼船団長に就任し、以後同船団の総指揮者として約一年三カ月にわたって同船に乗船した。
まき網漁船の経験は豊富であったことから、適切な海技免状を受有していなかったが、一括公認を受けて船長に代わって操船指揮に携わることがあった。

 

本件発生に至る経線
■海上強風警報の中を出漁
25号は、中型まき網漁業に従事する五郎竹丸船団の網船で、船長以下二十人が乗り組み、操業の目的で、船首一・八一メートル、船尾二・五五メートルの喫水をもって、平成六年十二月二十六日午後零時四十五分に静岡県戸田港を発し、同県御前崎南東方沖合五海里ばかりの漁場に向かった。

 

主文
本件転覆は、気象海象に対する配慮不十分で、発航することを中止しなかったことと、満載喫水線の不遵守で、復原力を確保できなかったこととによって発生したものである。

 

 

 

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